5-3-1-3.第3章「霊的パワーの獲得」

世の中は、快楽や興奮、目新しいものを求め、笑いや涙に突き動かされることを求めるあまり、強さ、安定性、力(パワー)ではなく、弱さを自ら招き寄せ、自分の持つ力を分散させることに熱心な男女で溢れています。

本当の力とその影響力を持つ男女は僅かです。なぜなら、力を得るために必要な利己心を抑制する用意のある者はほとんどいないし、忍耐強く人格を形成する用意のある者はさらに少ないからです。

方向の定まらない思考や衝動に振り回されると、人は弱く無力になります。思考や感情を正しくコントロールし、その方向付けを確かなものにすると、強く、パワフルになります。動物的な激情の強い人間は、獣的な猛々しさを持っていますが、これは力ではありません。力の要素はそこにあるものの、それはこの猛々しさが、真の力の始まりである高次の知性によって飼いならされ、制圧されたときにのみ発揮されるものです。人は、自分自身をより高い知性と意識に目覚めさせることによってのみ、力を増していくことができるのです。

弱者と強者の違いは、意志の強さにあるのではなく(頑固者はたいてい弱く、愚かです)、知識レベルを示す意識の中心がどこにあるかによるのです。快楽を求める人、興奮を愛する人、目新しいものを追い求める人、衝動やヒステリックな感情に支配されている人は、バランス感覚、安定性、影響力が何から得られるのかについての知識が欠如しています。

人間は、自分の衝動や利己的な傾向を抑え、自分の内にあるより高次でより冷静な意識を拠り所とし、真理に自分をしっかり向け始めたときに、力を開発し始めるのです。不変の真理を認識することが最高の力の源泉であり、力を得る秘密はそこにあるのです。

多くのことを探し求め、苦しみ、犠牲を払った後、永遠の真理の光が魂に差し始めると、神聖な静けさが訪れ、言葉にできないほどの喜びが心に生じます。

このようにして真理を認識し得た者は、迷うことをやめ、冷静で自制心を持ち続けるようになります。彼は「感情の奴隷」であることをやめ、自らの「運命開拓の責任者」となるのです。

真理ではなく、自己に支配されている人間は、自分の利己的な快適さが脅かされると容易に変節します。自分の利益を守り抜くことに没頭し、そのために役立つのであれば、あらゆる手段を合法的なものと見なします。彼は自己中心的すぎるあまり、自分が自分自身の敵であることに気がつかないまま、敵から身を守る方法について常に策略を練ります。そのような人のなすことはやがて崩れ去ることになります。なぜなら、真理とその力から見放されているからです。自己を基盤とした努力はすべて滅び、不滅の真理の上に築かれた仕事だけが、耐えて残るのです。

真理に立つ人間は、どんな状況下でも、変わることなく冷静で、勇敢で、沈着です。試練の時が来て、自分の快適さと真理のどちらかを選ばなければならないとき、彼は快適さを捨てて、堅固であり続けます。拷問や死の予想さえも、彼を変えることはできませんし、思い留まらせることもできません。自己中心的な人間は、自分の富、快適さ、あるいは生命を失うことを、自分に降りかかる最大の災難と見なしますが、真理を重んじる人は、これらのことを人格の喪失や真理の喪失と比べるべくもない、些細なものと見なします。彼にとっては、真理を捨てることこそ、真に災難と呼ぶべき唯一の出来事なのです。

誰が闇の手先で、誰が光の子であるかが分かるのは危機の時です。羊とヤギを峻別し、後世の人々の敬愛のまなざしの中で、その人の真の姿を明らかにするのは脅威的な災害、破滅、迫害といった重大な出来事の時です。

人は、財産を享受することができているときは、平和、同胞愛、普遍的な愛の原則を信じ、自分がその信奉者であることを自認しています。しかし、自分の享受しているものが脅かされたとき、あるいは脅かされていると感じたとき、人は大声で戦争を叫び始め、自分が信じているのは、平和、同胞愛、普遍的な愛などではなく、闘争、利己主義、憎悪であることを露見させます。

この世のあらゆるものを失い、名声や生命までも失う危機に瀕しても、主義を捨てない人が真の強者であり、その人のすべての言葉と仕事は時の流れに耐え、後世において尊敬され、崇められ、崇拝されるのです。イエスは、自分が拠り所とし、すべての信頼を置いている神の愛の原理を捨てるのではなく、苦痛と剥奪の極限を耐え抜かれました。そして、今日、世界はイエスの孔を開けられた足元にひれ伏し、礼拝しているのです。

霊的な原理を実感する内なる光と悟り以外に霊的な力を得る道はありません。そして、この原理は絶え間ない実践と応用によってのみ実感されます。

神の愛の原理を受け入れ、それを完全に理解することを目的として、静かに熱心に瞑想してください。あなたの習慣、行動、会話、他人との交流、あなたのあらゆる秘密の考えや願望に、その探究の光を当ててみてください。この過程を辛抱強く続けるうちに、神の愛がますます完全に明らかになり、自分の欠点がますます鮮明なコントラストで際立って、新たな努力に拍車がかかることでしょう。そして、その不滅の原理の比類なき威厳を、一旦、垣間見たならば、二度と自分の弱さやわがまま、不完全さに留まることなく、あらゆる不調和な要素を捨て去って、自分を完全に愛と調和させるまで愛を追及するようになるでしょう。この内なる調和の状態が霊的パワーがもたらすものなのです。また、純潔や慈悲といった他の霊的原理についても、同様に瞑想してください。真理は大変な努力を必要とするものです。それゆえ、あなたは、魂の内奥の衣からあらゆる汚れが取り除かれ、あなたの心がいかなる激情、非難、無慈悲な衝動をも覚えなくなるまで、停滞したり休憩したりすることは許されません。

これらの原則を理解し、実行し、それを信頼する限りにおいてのみ、あなたは霊的な力を獲得し、その力はあなたの中で、また、あなたを通して、ますます冷静さ、忍耐、沈着さという形で現れてくるのです。

冷静さは優れた自制心を意味し、卓越した忍耐心はまさに神の知識の極印(ごくいん)です。また、人生のあらゆる義務や娯楽の中で、平静心を保持することは、力のある人物の証明です。「世俗の中で世間の意見に従って生きるのは簡単です。孤高の中で自分の意見に従って生きるのも簡単です。しかし、偉大な人間は、群衆の中で完璧な優しさを持ちつつ自分の独立性を保ちます。」

神秘主義者の中には、冷静さを完璧に保つことが、いわゆる奇跡を起こす力の源であると考える人もいます。どんなに大きな衝撃を受けても、一瞬たりともバランスを崩すことがないほど、自分の内部の力を完全にコントロールできるようになった人は、それらの力を巧みに操り、使うことができるに違いありません。

自制心、忍耐力、平静さを身につけることは、強さと力を身につけることであり、あなたは意識を真理に集中することによってのみ、このように成長することができるのです。子供が一人で歩こうと何度も挑戦しては、何度も転んでやっと成功するように、あなたもまず一人で立とうとすることから力(パワー)の道に入っていかなければなりません。世間の中を独りで歩き、そして自己確立することに成功するまで、習慣、伝統、慣例、他人の意見と決別してください。自分の判断に頼り、自分の良心に忠実になり、自分の内なる光に従いなさい。外なる光はすべてあてにならないものです。あなたは愚かだ、あなたの判断は間違っている、あなたの良心はすべて狂っている、あなたの内なる光は闇だと言う者がいることでしょう。しかし、彼らに耳を貸してはなりません。もし、彼らの言うことが本当なら、知恵を求める者として、一早くそれを知るべきですが、それは自分の力でチェックすることによってのみ判断できます。それゆえ、勇気をもって自分の道を突き進みなさい。良心は少なくとも自分のものであり、それに従うことが人間であり、他人の良心に従うことは奴隷になることです。多くの失敗をし、多くの傷を負い、一時期、多くの打撃に耐え続けなければならないこともあるでしょう。しかし、その先に確かな勝利があることを信じ、信念をもって邁進しなさい。拠って立つべき岩盤として、原理を探し見つけてそれを足元に置き、その上に直立し、最後には不動の精神で、利己主義の波と嵐の猛威を克服することに成功しなさい。

なぜなら、利己主義はいかなる形態であれ、放蕩、弱さ、死であるのに対し、精神面における非利己主義は節制、力、生命であるからです。あなたが霊的生活の中で成長し、諸原理の上に自己確立するようになると、それらの諸原理のように美しく、不変のものとなり、その不滅の本質の優しさを味わい、内なる神の永遠不滅の本質を理解できるようになります。

正しい人に届くこん棒はない。

憎しみの嵐の中にまっすぐ立ち、
苦痛、危害、反対をものともしない、
運命におののく奴隷たちに囲まれながらも。 

静かなる力の強さに威厳があり、
静寂の中に立ち、変化せず、転向せず
苦悩の最も深き時も、忍耐強く、堅固で、
時が彼に跪(ひざまず)き、彼は死と破滅をはねつける。

怒りの燃えるように赤い稲妻が彼を取り囲み、
地獄の深き雷鳴が彼の頭の上で鳴り響く。

しかし、彼はそれらをものともしない、

それらが大地と時間と空間が逃げ出す所に立つ彼を殺すことはできないから。

不滅の愛に守られている彼が何を恐れるというのか。

不変の真理を身にまといし彼が、損得について何を知ることがあるというのか。
永遠を知る彼は、影が行き来しても動くことはない。

彼を不滅と呼び、彼を真理と光と呼び、
そして予言者の威厳の輝きと呼べ。
神性の栄光を身にまとい、
夜が支配する中に住まう者を。

第4章「無償の愛の実現」はこちら

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