4-0.潜在意識の真実

潜在意識については「心の構造」ページでも簡単に触れましたが、潜在意識とは私たちの心の最深部に存在している意識です。しかし、私たちの心の最深部に存在してはいるものの、実は私たちの心ではなく、神の心そのものであり、私たちの思考が現象化するのは、この潜在意識の働きによるものです。したがって、神とは私たちから遠く離れた存在などではなく、私たちとは不即不離の関係にあり、つねに私たちの思考を忠実に現象化すべく働き続けている存在であるということになります。「潜在意識は気のいい運ちゃんのようなもの」あるいは「潜在意識は忠実な下僕(しもべ)のようなもの」と比喩されることがあるのはこの事実によります。

この事実からいえることは、自己実現に際しては、必ずしも神に願い事をしたり、祈ったりする必要はないということです。なぜなら、その願いや祈りの内容を思考として持ち続ければ、その思考の中身が何であれ、それは神の働きにより必ず現象化することになっているからです。潜在意識とはまるで、どのような願いでも聞き届けてくれるアラジンの魔法のランプのようなものといえるかと思います。しかし、これには注意が必要です。

その第1点目は、「否定から肯定は生まれない」のページにおいて「神には否定という概念がなく、あるのは肯定のみであり、これが神の大いなる肯定の一面です」と述べましたが、これは実は怖いことなのです。なぜなら、肯定的な思考のみならず、否定的な思考であっても、潜在意識(神)は自分に伝わってきた私たちの思考のすべてを肯定し、受け入れて忠実に実現するからです。この真実と、別項の「否定から肯定は生まれない」でも述べましたが、潜在意識が現象化するのは私たちの表面意識の思考(建前的)ではなく、深層意識に沈潜している思考(本音)の方であることをよく理解して、とにもかくにも、これから先は否定的な思いを出したり、悲観的な考えをしたりせずに、つねに肯定的に考えて深層意識の想念を変える努力をすることが極めて大事といえます。これと合わせて、同じようなことではありますが、関心を向けていることは潜在意識に伝わりやすいことも知っておく必要があります。表面意識では健康になりたい、金持ちになりたいといくら思っていても、無意識下ではいつも自分や他人の病気や貧乏を気にしていれば、その負の概念が潜在意識に伝わり病気や貧乏を引き寄せてしまいます。この点について、『引き寄せの法則』の著者であるヒックス夫妻にあの世から啓示を送ったエイブラハムは次のように言っています。

「引き寄せの法則」はあなたに、あなたの作用点に働く。そして作用点はあなたの思考が作る。感情はあなたの思考によって引き起こされる。したがって、自分についての感じ方が、力強い磁力が働く作用点になる。自分は貧しいと感じていれば、豊かさを引き寄せることはできない。太っていると感じていれば、痩身を引き寄せることはできない。孤独を感じていれば、仲間を引き寄せることはできない。それは「法則」に反するからだ。周囲の大勢の人たちが「現実」を指摘したがるかもしれない。「事実を見つめなさい。現状を見なさい」と言うかもしれない。だが、わたしたちは言う。現状しか見ることができなければ、「引き寄せの法則」により、現状と同じことが創造されるだけなのだ。今とは違うこと、今よりもっと多くのことを引き寄せるためには、「現状」を超えて考えることができなくてはならない。

「現状」に感情的な関心を向けていれば現在に根を張った木と同じだが、違った経験をしてみたいという感情を込めた幸せなビジョンは、変化を引き寄せる端緒になる。今の人生のなかにはそのまま続いてほしいと思う部分もあるだろう。それなら、そのことに関心を向けていれば、その経験が続く。だが、望まないことがあるなら、関心をそこから別のところに向けなくてはいけない。<吉田利子訳『引き寄せの法則-エイブラハムとの対話』(2007年)SBクリエイティブ(株)P.160>

第2点目の注意点は、唯一無二の絶対的かつ主観的な心である潜在意識(神の心)には、私たち人間の客観的な心とは異なり、比較や判断、配慮といった作用がないことです。それゆえ、前述したように「神の御心に適いますならば、我が願いを叶え給え」という、神に判断を委ねる祈りは無意味なのです。「願いを叶えるか叶えないか神様にお任せします」といわれても神は途惑われるばかりです。せっかく神ご自身の代理人として人間を創り、神を信じるも自由、信じないも自由という最大限の自由性までも与え、その自由な思考を現象化することで自己表現をなそう、変化の喜びを味わおうと意図しておられるのに、それでは何の意味もないからです。根源の神に対しては願い事をしっかり固めたうえで「我が願い、叶えたまえ」だけでよいのです。「神の御心に適いますならば、・・・」という姿勢は、絶対的な唯一無二の根源神ではなく、私たちと同じ相対的な存在であり、私たち以上に真理を悟得していて、地上の人間を守護したり指導したりする力を有しているあの世の高級霊に対して、自我を去り謙虚に祈るときの作法であると心得るべきかと思います。ちなみに、私たちの祈りや祈願が聞き届けられるかどうかは、私たち自身の日頃の精神的態度や言動、そして真剣さが鍵となります。この点については『霊界通信 小桜姫物語』(浅野和三郎著 潮文社)の73節「参拝者の種類」や74節「命乞い」が一つの参考になるかと思います。

では、ここで、本題の戻って、潜在意識の秘密をさらに深く理解するために、次の諸点について考察してみたいと思います。

4-1神と人間の心の作用の違い

4-2潜在意識の具体的な働き

4-3神とはいかなる存在か

4-4人間とはいかなる存在か

4-5神の化身の存在

4-1「神と人間の心の作用の違い」へつづく

タイトルとURLをコピーしました